非抜歯矯正で「出っ歯になった」と感じる方へ|原因と再矯正のポイント
非抜歯矯正を選んだのに「出っ歯になった」「口元が前に出てしまった」と感じる方は少なくありません。その多くは、歯列や骨格のバランスを正確に診断しないまま治療を進めたことが原因です。
非抜歯矯正は、歯を抜かずに自然な歯列を整える魅力的な方法です。しかし診断と治療計画が適切でなければ、前歯の突出や横顔の意図せぬ変化を招くこともあります。
本記事では、非抜歯矯正で出っ歯になってしまうメカニズム、失敗の背景、正しい診断の重要性、再矯正による改善方法までを専門的に解説します。また渋谷東京矯正歯科が実践する「非抜歯でも出っ歯にならない治療計画」にも触れながら、後悔しない矯正の考え方をお伝えします。
非抜歯矯正で「出っ歯になった」と感じる人の原因と実例

「非抜歯で矯正したら、前より出っ歯に見えるようになった」と感じる方は少なくありません。
非抜歯矯正は、歯を抜かずに並べるため、歯列全体を前方へ広げる設計になりやすく、スペース確保の方法や歯の動かし方を誤ると口元の突出を招いてしまいます。
実際に、矯正後に「口ゴボになった」「Eラインが崩れた」と相談されるケースの多くは、骨格に対して歯の位置を適切にコントロールできていないことが要因です。特に、骨格性の上顎前突や奥行きの浅い顔立ちでは、非抜歯矯正の適応を慎重に見極める必要があります。
ここでは、実際の失敗例や後悔した事例をもとに、出っ歯になってしまう典型的なパターンを見ていきます。
失敗例・後悔事例から見るパターン
非抜歯矯正で「出っ歯になった」と感じる方の多くは、治療設計の段階でスペース配分や歯の傾きの管理が不十分だったケースです。例えば、歯を並べるためのスペースが足りないまま無理に前方へ移動させた結果、前歯が外側に倒れ込み、横顔のバランスが崩れてしまうことがあります。
また、歯列全体を拡げ過ぎると、口元全体が膨らんだ印象になり、いわゆる「口ゴボ」に見えることもあります。これは、骨格の奥行きに対して歯列が過剰に前に広がった状態です。
さらに、診断時に骨格性の要因を見落とし、歯の位置だけで解決しようとした場合にも出っ歯になりやすいです。実際、再矯正の相談では「歯そのものは綺麗に並んだのに顔の印象が変わってしまった」という声が多く聞かれます。こうした事例は、非抜歯矯正が悪いのではなく、診断と設計の精度不足が原因であることを理解することが大切です。
次では、なぜこうした結果が起こるのか、歯列や装置設計の観点から詳しく見ていきます。
非抜歯矯正で出っ歯になってしまう理由
歯を抜かずに並べるためには、歯列全体のスペースをどのように確保するかを慎重に計画する必要があります。このとき、前歯を押し出すように動かしてしまうと、歯列が前方に膨らみ、結果として口元が突出して見えるのです。
もう一つの要因は、歯の傾き(歯軸)のコントロール不足です。歯は単に位置を移動させるだけでなく、根の方向を骨の中で正しく保つことが重要です。歯軸が過度に前傾すると、歯列全体が前に倒れ込んだような形になり、見た目にも出っ歯の印象を与えます。
また、奥歯の後方移動(遠心移動)が十分に行われていないケースも多く見られます。奥行きの余裕を作らないまま歯を動かせば、当然ながら前方への突出が強調されます。
次では、歯だけでなく顔全体のバランスを見落とすことによって生じる審美的な問題について解説します。
顔貌・審美バランスの見落とし
非抜歯矯正で「出っ歯になった」と感じるもう一つの理由は、顔全体のバランスを考慮せずに歯列だけを整えた場合です。歯並び自体は整っていても、横顔のラインや唇の位置、鼻や顎とのバランスが変化すると、口元が前に出たように見えることがあります。
特に、Eライン(鼻先と顎先を結ぶライン)との位置関係を無視した設計では、歯を前方に動かし過ぎることで唇が厚みを帯び、横顔全体が膨らんだ印象になることがあります。これでは、歯列だけでなく顔貌全体の調和を意識した診断が不足してしまっています。
しかし実際のところ、歯列矯正で顔貌まで考慮して治療を行う歯科医院は非常に少なく、このようなトラブルにつながってしまいます。
渋谷東京矯正歯科では、CTや3Dスキャナーを用いて骨格や歯軸を立体的に把握し、さらに顔貌シミュレーションを行うことで、歯の移動が口元や横顔にどのような影響を与えるかを事前に確認しています。こうした多角的な分析によって、見た目と機能の両方を両立させる設計を行うことが可能です。
次では、非抜歯でも「出っ歯にならない」ための治療方法について詳しく解説します。
非抜歯矯正で出っ歯にならないための治療方法

非抜歯矯正は、歯を抜かずに自然な歯列を整える魅力的な方法ですが、適切な設計とコントロールがなければ口元が前に出て見えることがあります。そのため、治療の初期段階で「スペースの確保」「歯軸の管理」「奥行きの設計」をどのように行うかが重要になります。
歯列を無理に前方へ広げるのではなく、必要に応じて歯と歯の間をわずかに削るIPR(歯間削合)や、奥歯を後方へ移動させる遠心移動などを組み合わせることで、自然なアーチのまま整列させることが可能です。こうした設計では、歯を動かす量だけでなく「どの方向に」「どのタイミングで」動かすかを正確に管理することが求められます。
次では、非抜歯矯正で出っ歯にならないための「スペース確保の方法」について詳しく解説します。
スペース確保の多様な手法
非抜歯矯正で理想的な歯列を整えるためには、まず「どのようにして歯を並べるためのスペースを確保するか」が重要な設計ポイントになります。抜歯を行わない場合、歯列の中で限られた空間をどう生み出すかを丁寧に計画しなければ、歯が前方に押し出され、口元が出て見える原因となります。
スペースを確保する主な方法には、歯と歯の間を微量に削るIPR(歯間削合)、顎骨の形態に合わせて歯列を横方向に広げる側方拡大、奥歯を後方へ移動させる遠心移動などがあります。これらは単独で使うのではなく、患者様の骨格や歯列の特徴に応じて最適な組み合わせを設計することが大切です。
次では、それぞれの方法の特徴と注意点を具体的に解説します。
IPR(歯間削合)の適用と限界
IPR(歯間削合)は、歯と歯の間をわずかに削ることで、歯列を整えるためのスペースを作る方法です。削る量は数ミリ以下とごく微量で、歯の健康や強度に影響を与えない範囲で行われます。非抜歯矯正においては、抜歯せずに自然なアーチを保ちながら歯を整列させるための有効な手段です。
ただし、IPRには適用できる範囲と限界があります。歯の厚みやエナメル質の状態を考慮せずに過度に削ってしまうと、歯の形態が不自然になったり、将来的に知覚過敏を引き起こすリスクが高まることがあります。そのため、どの歯に、どの程度の量を削るかを精密に設計することが重要です。
側方拡大・アーチ幅拡大
側方拡大(アーチ幅拡大)は、歯列を横方向に広げることでスペースを確保する方法です。歯を前方に出さずに並べるためには、前後方向だけでなく「横方向の余裕」を活かす設計が有効です。特に、歯槽骨(歯を支える骨)に十分な厚みがある場合、自然な範囲で歯列を広げることで、歯を抜かずに整列させることが可能になります。
ただし、骨の幅以上に拡大してしまうと、歯根が骨の外に近づき、歯肉の後退や歯の動揺といったリスクが生じることがあります。そのため、骨の厚みや歯根の位置を正確に把握したうえで、拡大量の限界を見極めることが不可欠です。
奥歯の遠心移動(後方移動)
奥歯の遠心移動は、歯列全体を後方へスライドさせることで前歯のスペースを確保する方法です。抜歯を行わずに口元の突出を抑えたい場合、この後方移動をどれだけ正確にコントロールできるかが治療成功の鍵になります。奥歯を後ろに下げることで、前歯を無理に前方へ押し出す必要がなくなり、自然な横顔と咬み合わせを維持しながら歯を整列させることが可能です。
しかし、奥歯の移動は難易度が高く、十分な固定源がないまま行うと歯が傾いてしまうリスクがあります。そのため、近年ではアンカースクリュー(小型のインプラント)を併用し、アンカースクリューを固定源として歯列全体を安定的にコントロールする手法が一般的です。また、マウスピース矯正の精密な3D設計を活かすことで、歯の動きを段階的に分け、骨格に負担をかけずに安全な遠心移動を実現できます。
歯軸(傾き)・歯根の位置の管理
非抜歯矯正で口元の突出を防ぐためには、歯の位置だけでなく「歯軸」と「歯根の位置」を適切に管理することが欠かせません。歯軸とは歯が骨の中でどの方向に傾いているかを示す角度のことで、この傾きが前方へ倒れすぎると、歯列全体が前に押し出されたように見える原因となります。
矯正治療では、歯冠(見える部分)を整えるだけでなく、歯根(骨の中に埋まっている部分)を正しい位置へ誘導する必要があります。歯根の角度がずれたまま整列させると、見た目は整っていても咬み合わせが不安定になり、治療後に戻りが生じやすくなります。
渋谷東京矯正歯科では、CTによる立体的な画像診断を行い、歯根の傾きや骨の厚みを正確に把握します。その情報をもとに、インビザラインのデジタル設計で歯の動きを段階的にコントロールし、歯軸を保ちながら安全に整列させることで、見た目と機能の両立を図っています。
顔貌・口元のシミュレーション
非抜歯矯正を成功させるうえで重要なのは、「歯並びだけでなく顔全体のバランスを見据えた設計」を行うことです。歯の位置や傾きは、唇の厚みや口元のライン、横顔の印象に大きく影響します。そのため、歯の移動を計画する段階で、治療後にどのような顔貌変化が起こるかをシミュレーションしておくことが大切です。
当院では、CTデータと3Dスキャナーを活用した、顔貌シミュレーションを行っています。これにより、歯の動きが唇や顎、鼻とのバランスにどのように作用するかを可視化し、患者様と共有できます。治療前に「どの程度口元が変化するのか」を確認できるため、仕上がりのイメージに納得したうえで矯正を進めることができます。
このように、非抜歯であっても「顔貌を含めた設計」を徹底することで、自然で調和のとれた印象を保ちながら歯列を整えることが可能です。次では、非抜歯矯正が向いているケースと、抜歯を検討した方がよいケースについて具体的に見ていきます。
非抜歯が向いているケース・向かないケース

非抜歯矯正は「歯を抜かずに整える」という点で魅力的な治療法ですが、すべての症例に適しているわけではありません。歯や骨格の状態によっては、無理に非抜歯で進めることで歯列の突出や咬み合わせの不調和が起こる場合もあります。そのため、非抜歯が適しているかどうかを見極めることが、理想的な仕上がりへの第一歩です。
非抜歯が向いているのは、歯並びの重なり(叢生)が軽度で、歯を大きく動かさなくても自然に整列できるケースです。また、骨格的に前後のバランスが取れており、顔貌として口元を大きく下げる必要がない場合にも適しています。逆に、骨格性の出っ歯やスペース不足が大きい場合は、非抜歯では十分な奥行きを確保できず、結果的に横顔のバランスを崩すリスクがあります。
次ではより具体的に、非抜歯が適している代表的なケースを具体的にご紹介します。
非抜歯が適しているケース
非抜歯矯正が向いているのは、歯列や骨格のバランスが良く、比較的軽度の歯並びの不正にとどまるケースです。歯を大きく動かす必要がなく、限られたスペースの中で自然に整列できる場合は、抜歯を行わずに十分な審美性と機能性を得ることができます。
また、歯槽骨の厚みや歯根の位置に余裕が確認できる場合も、非抜歯での治療が適しています。さらに、口元の印象を大きく変えたくない、もしくは現在の顔貌を保ちながら歯並びを整えたいという希望がある場合にも有効です。
代表的な条件を見ていきましょう。
①軽度の叢生(2〜3mm以内の歯の重なり)
歯がわずかに重なっている「軽度の叢生(そうせい)」のケースでは、非抜歯での矯正が適している場合が多くあります。2〜3mm程度の重なりであれば、歯と歯の間をわずかに削るIPR(歯間削合)や、歯列を自然な範囲で広げる側方拡大などによって十分なスペースを確保することが可能です。
このような症例では、歯の位置を大きく動かす必要がないため、歯軸の傾きや骨格バランスを崩すことなく、自然なアーチを保ったまま整列が進みます。また、治療後の変化も穏やかで、横顔や口元の印象を大きく変えずに仕上げられる点も特徴です。
こうした軽度の叢生は、非抜歯矯正の理想的な適応例といえます。
②骨幅・歯槽骨に余裕があるケース
歯を支える土台である歯槽骨(しそうこつ)に十分な厚みと幅がある場合、非抜歯での矯正が適している可能性が高くなります。骨の厚みがあることで、歯を動かせる余裕が生まれ、歯列を前後・左右に微調整しても、歯根が骨の外に出るリスクを抑えられるからです。
このような症例では、歯の傾きや位置をコントロールしやすく、自然なアーチを維持しながら歯を整列させることができます。反対に、骨幅が狭い状態で無理に非抜歯で進めると、歯根が骨の範囲を超えてしまい、歯肉の後退や咬合の不安定化につながることがあります。したがって、骨の余裕を正確に診断することが、非抜歯治療を成功させる前提条件といえます。
骨の形態に適した安全な範囲内で歯を動かすことで、審美性と安定性を両立させた矯正を実現できます。
③口元の変化は最小限で良いケース
非抜歯矯正が特に適しているのは、「現在の口元の印象を保ちながら歯並びだけを整えたい」というケースです。歯を抜かずに行う矯正は、唇の位置を大きく変えずに、自然なバランスを維持できる点が大きなメリットです。
たとえば、「笑ったときの歯の見え方を少し整えたい」「前歯のねじれを直したい」「軽く前に出た印象を少し引き締めたい」といった希望の場合、非抜歯での矯正設計が有効です。このような症例では、歯列の奥行きや傾斜を丁寧にコントロールすることで、無理なく整った印象に仕上げることができます。
抜歯が必要なケース
一方で、すべての症例が非抜歯で理想的に整うわけではありません。歯列や骨格の条件によっては、抜歯を行うことでより調和の取れた仕上がりを得られるケースもあります。特に、歯を並べるスペースが著しく不足している場合や、口元をしっかり後方に下げたい場合には、抜歯を含めた設計の方が機能的・審美的に安定した結果につながります。
抜歯を選択する目的は、「歯と骨格、顔貌のバランスを整えること」です。無理に非抜歯で進めると、歯が前方に出たり、咬み合わせが不安定になるリスクがあるため、事前の診断とシミュレーションによる見極めが不可欠です。
次では、抜歯した方がよいと判断される代表的なケースを具体的に解説します。
①骨格性の出っ歯(上顎前突)
骨格性の出っ歯(上顎前突)の場合は、歯の位置だけでなく上顎そのものが前方に位置しているため、非抜歯での矯正には限界があります。歯を抜かずに前歯を後退させようとすると、歯列全体が前方へ押し出されてしまい、かえって口元が強調される結果になることがあります。
このような症例では、抜歯によって歯列全体のスペースを確保し、前歯を適切な位置まで後方移動させることで、横顔のラインを整えることが可能です。特に、Eライン(鼻先と顎先を結ぶライン)から唇が大きく突出している場合には、抜歯を伴う設計が自然で調和のとれた仕上がりにつながります。
②重度の叢生・スペース不足(5mm以上)
歯が大きく重なり合っている「重度の叢生(そうせい)」や、歯を並べるためのスペースが5mm以上不足している場合には、抜歯を検討することが現実的です。非抜歯で無理に並べようとすると、歯列が前方へ広がり、歯軸の傾きが不自然になったり、口元の突出感が強まるおそれがあります。
抜歯を行うことで、歯列全体の奥行きを確保しながら、歯を理想的な角度と位置に配置することが可能になります。これにより、横顔のラインをすっきり整えつつ、咬み合わせも安定した状態に仕上げることができます。
歯の重なり具合だけでなく、骨格や歯槽骨の厚み、歯根の位置まで立体的に分析したうえで、抜歯の必要性を判断することで、単にスペースを作るためではなく、「歯列と顔貌の調和」つまり審美的にも機能的にも満足度の高い治療を行えます。
③口元を大きく引っ込めたい・横顔改善を重視するケース
矯正治療を希望される方の中には、「歯並びを整えるだけでなく、口元をしっかり引っ込めたい」「横顔の印象を整えたい」と考える方も少なくありません。このようなケースでは、非抜歯よりも抜歯を併用した設計の方が、より確実にバランスを整えることができます。
歯を抜くことで歯列全体を後方に下げるスペースが生まれ、上唇や口元を自然に後退させることが可能です。特に、Eラインから唇が明確に前に出ている場合や、フェイスラインをシャープに見せたいという希望がある場合には、抜歯による奥行き設計が有効に働きます。
渋谷東京矯正歯科では、治療前に顔貌シミュレーションを行い、抜歯の有無による横顔の変化を比較しながら治療方針を検討します。見た目の変化を事前に確認できることで、患者様自身が納得した上で治療を進めることができます。
非抜歯矯正で出っ歯になってしまった場合のリカバリー

非抜歯で矯正を行ったものの、「治療後に口元が前に出て見える」「思っていた仕上がりと違う」と感じる方は少なくありません。しかし、そのような場合でも、原因を正確に見極め、再設計を行うことで改善が期待できます。
重要なのは、単に再矯正するのではなく、なぜその結果になったのかを明確に分析し、骨格と歯列の両面から再構築することです。
当院では、他院で非抜歯矯正を行って出っ歯になってしまった方の、リカバリー治療を行っています。CTと3Dシミュレーションによる再診断を通して、歯の動き方・スペースの取り方・奥行きの設計にどのような問題があったかを細かく検証します。そのうえで、再矯正の方針として抜歯・非抜歯の再選択、奥歯の遠心移動やIPRの再設計など、患者様一人ひとりに最適な方法を提案します。
次では、実際にどのような流れで再診断と再治療が進むのかを詳しく解説します。
原因分析と再診断
非抜歯矯正の結果として口元の突出や出っ歯のような見た目になってしまった場合、まず行うべきは「なぜそうなったのか」という原因分析です。再矯正を成功させるためには、最初の治療でどの段階に問題があったのかを正確に把握することが欠かせません。
原因として多く見られるのは、診断時に骨格や歯槽骨の奥行きを十分に考慮していなかったケース、スペースの確保方法が不適切だったケース、または装置の使用時間や装着状態に誤差が生じていたケースなどです。これらはいずれも「設計精度」と「治療管理」の問題であり、再治療ではここを丁寧に再評価する必要があります。
以前の治療で起こった誤差を可視化し、再治療の方向性を明確にすることで、再矯正の成功率を高めることができます。
具体的な治療法の選択
原因が明確になったあとは、その内容に応じて最適な再矯正の方法を選択します。再治療のアプローチは一人ひとり異なり、単純な再配列だけでなく、歯列全体の奥行きや傾斜、骨格とのバランスを再構築する必要があります。
たとえば、非抜歯で治療したことで前方へ広がりすぎた歯列には、奥歯の遠心移動を加えることで前歯を後方に下げる設計が有効です。逆に、スペース不足の根本的な原因が大きい場合には、抜歯を含めた再設計を行うこともあります。また、歯の傾きや角度の微調整が目的であれば、IPRによって対応できるケースもあります。
治療期間とリスク
再矯正では、治療内容や歯の動かし方により期間や費用が変動します。
一般的な再矯正は前回の治療で整っている部分を活かせる場合、期間は6か月〜1年半程度で完了することが多いです。しかし非抜歯矯正で出っ歯になってしまった場合は、奥歯の遠心移動や抜歯を伴う再設計を要することが多く、こういったケースでは1年半〜2年ほどの治療期間を見込む必要があります。
リスクとしては、再矯正特有の要因として、歯根の吸収(歯の根が短くなる現象)や歯肉の後退などが挙げられます。しかし、CTによる骨量の把握と、歯の動きを段階的に制御する3Dシミュレーションを組み合わせることで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能です。
渋谷東京矯正歯科では、治療開始前に期間とリスクを明示し、患者様が納得したうえで治療に臨めるようにしています。
当院で再矯正を行ったケースについて
以前、他院で非抜歯のマウスピース矯正を受けた30代女性の方が、再矯正を希望して当院に来院されました。一回目の矯正治療後、歯並びは整ったものの、「笑うと前歯が強調される」「横顔が出て見える」といった違和感を感じていました。
診断の結果、前歯が前方へ傾いてしまっていること、理想の顔貌になるためには歯を並べるスペースがそもそも不足していることが原因でした。
そこで当院では、骨格・歯軸の状態を再評価し、奥歯を遠心移動させる設計に変更し、歯列の奥行きを作りました。本来であれば抜歯でスペースを作るところでしたが、患者様のご希望で抜歯は行わずに治療したいということでしたので、少し難易度は高いですがこのような方法になりました。
奥歯を後方に大きく動かすために、アンカースクリューを使用し、歯の動きを促進するために光加速装置も併用して、治療期間の短縮を図りました。
再矯正後、患者様からは「以前よりも自然な笑顔になれた」「横顔がすっきりした」と嬉しいお言葉をいただきました。初回治療での経験から不安を抱えていたものの、顔貌シミュレーションを通じて仕上がりのイメージを共有できたことで、安心して再治療に臨めたとお話しされています。
再矯正は、単なる「やり直し」ではなく、前回の課題をもとに最適な設計を再構築する治療です。渋谷東京矯正歯科では、骨格の分析と精密な治療設計を組み合わせることで、難しい再矯正にも柔軟に対応しています。
渋谷東京矯正歯科が選ばれる理由/設計方針

非抜歯矯正で「出っ歯にならない」治療を実現するためには、治療技術だけでなく、診断と設計の精度が不可欠です。渋谷東京矯正歯科では、単に歯を動かすのではなく、「骨格・歯軸・顔貌の調和」を設計段階から徹底的に追求しています。
CT撮影と3Dスキャンを実施し、骨格・歯根・歯列の位置関係を立体的に解析。治療計画では、口元や横顔の変化を事前に可視化し、患者様自身が納得したうえで治療を進められるよう設計しています。さらに、年間100症例以上を担当する経験豊富な院長が、歯の移動方向やタイミングをミリ単位でコントロールし、見た目と機能の両立を図ります。
また、治療中も定期的にシミュレーションを更新し、経過を可視化することで、途中段階でも設計の修正が可能です。
次では当院の非抜歯矯正の具体的な診断・治療の過程について解説します。
CT・3Dスキャン・顔貌シミュレーションを駆使した診断体制
当院の治療設計の中核を担うのが、CT・3Dスキャン・顔貌シミュレーションを組み合わせた精密な診断体制です。これにより、歯列の表面的な状態だけでなく、骨格の奥行き・歯根の位置・歯槽骨の厚みまで正確に把握することができます。
CT(コンピュータ断層撮影)では、上下顎の骨格構造や歯根の向きを立体的に可視化することができます。従来のレントゲンでは見落とされやすい細部まで確認でき、歯を安全に動かすための限界範囲を明確にします。さらに、3Dスキャナーで取得した歯列データを組み合わせ、クリンチェックによるデジタル設計を行うことで、歯の移動方向と骨格バランスをミリ単位で最適化します。
顔貌シミュレーションでは、歯列の変化が横顔や唇の位置にどのような影響を与えるかを可視化し、患者様と共有します。これにより、「歯並びを整える」だけでなく、「顔全体の印象をデザインする」矯正を実現しています。診断から設計まで一貫して立体的に行うことが、当院の最大の強みです。
マウスピース矯正専門医による精密治療
非抜歯矯正で自然な口元を保ちながら歯並びを整えるには、歯の移動をどの角度で、どの順序で行うかを綿密に設計する力が求められます。当院ではマウスピース矯正専門医である院長が全症例を担当し、歯軸・奥行き・咬合のバランスをミリ単位でコントロールしています。
当院で扱っているインビザラインは、設計次第で結果が大きく変わります。当院では、年間100症例を超える経験をもとに、クリンチェックを用いた三次元的なマウスピースの設計を行い、歯列の動きを段階的かつ安全に誘導します。特に、歯を前に押し出さないためのスペースの管理や歯軸の制御を徹底しており、非抜歯でも出っ歯になりにくい設計を実現しています。
また、難症例や再矯正の患者様に対しても、アンカースクリューや光加速装置を併用することで、治療効率と精度を両立します。マウスピース矯正専門医の豊富な経験と最新技術を融合した治療で、見た目の美しさだけでなく、長期的な咬合の安定まで考慮しています。
治療の透明性と過程の可視化
歯列矯正の治療期間は数か月から数年にわたるため、途中経過を患者様ご自身が理解し、納得しながら進められることがとても重要です。渋谷東京矯正歯科では、治療計画から経過確認まで、すべてのステップを可視化しています。
治療開始時には、クリンチェックを用いて、歯がどのように動いていくのか、最終的な歯列がどのように仕上がるのかを事前に確認できます。さらに、治療中も経過データを定期的に更新し、実際の歯列とシミュレーションを比較。必要に応じて設計を微修正し、理想的な仕上がりへと導きます。
また、オンライン診療やデジタル管理システムを活用することで、来院間隔を最小限にしながらも治療の進行を常にモニタリングしています。多くの場合、通院は4ヶ月に1回程度です。これにより、忙しい方でも安心して治療を受けていただけます。遠方からの患者様の場合でも、さらに来院間隔を伸ばして、オンライン診療を併用しながら治療が可能で、東北や北陸からお越しの患者様もおられます。
再矯正・やり直しへの対応力
矯正治療を一度終えた後に「理想の仕上がりにならなかった」「口元が思っていた印象と違う」と感じる方も少なくありません。再治療(再矯正)には、前回の治療内容を正確に分析し、改善すべきポイントを明確にする高度な診断力が求められます。
渋谷東京矯正歯科では、他院で行った歯列矯正の再治療にも対応しております。骨格や歯軸、咬合のバランスを再構築し、出っ歯のように見える状態や口元の不自然さを改善します。必要に応じて、奥歯の遠心移動やアンカースクリューの使用、また光加速装置による治療期間の短縮など、複数の技術を組み合わせて柔軟に対応しています。
他院で非抜歯矯正を行い口元が前に出てしまった患者様からの相談もこれまで複数ありましたが、治療後には、「自然な口元に戻れて本当に良かった」「もうどうしようもないと思っていたけれど、先生のおかげで満足できた」といった声をいただけました。
まとめ:出っ歯を防ぐ非抜歯矯正は「診断+設計力」がすべて

非抜歯矯正は、歯を抜かずに自然で美しい歯並びを実現できる魅力的な治療法です。しかし、その成功の鍵は「どれだけ精密に診断し、どのように設計するか」にあります。歯列を整えることだけに目を向けると、歯が前に出てしまったり、口元のバランスが崩れることもあります。重要なのは、骨格・歯軸・顔貌のすべてを一体として捉えることです。
渋谷東京矯正歯科では、CTや3Dスキャナーによる立体的な分析を行い、非抜歯でも出っ歯にならないよう奥行きと歯軸を綿密にコントロールしています。さらに、顔貌シミュレーションによって治療前に変化の方向性を可視化し、患者様が納得できる設計を行う点も特徴です。
もし他院で行った過去の矯正で仕上がりに不満がある場合でも、再診断と再設計によって改善の可能性は十分にあります。まずは一度、当院のカウンセリングで、あなたの骨格や口元の状態を立体的に確認してみてください。
