子どもの矯正 口呼吸とは
口呼吸とは、「吸う息、吐く息のどちらか一方でも口から行う呼吸法」であり、私たちはそれに加えて「常時開口状態における口唇閉鎖不全(いわゆるポカン口)」も含めています。
■口呼吸と鼻呼吸、何が違うのでしょうか。
鼻呼吸は、鼻毛や扁桃組織がホコリや花粉、ウイルスなどの侵入を防ぐため、異物が取り込まれにくいです。また、鼻で呼吸することで外気が加温・加湿され、温かく湿った空気を肺に取り込むことができるメリットもあります。
一方、口呼吸は外気をそのまま取り込むため、異物やウイルスが直接侵入して、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるというデメリットがあります。また、いびきをかきやすくなり、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こすリスクも高まります。
子どもの矯正 なぜ口呼吸は良くないの?
口呼吸とは、鼻ではなく口を開けたまま息をすることです。長く続くと、口呼吸にはデメリットしかありません。
- 口の渇き
口呼吸をすると唾(つば)が減りやすくなり、口の中がかわきます。唾液が乾燥してドライマウスになります。 - 免疫力の低下
唾には細菌を抑えるはたらきがありますが、減ると病気にかかりやすくなります。虫歯、歯周病にもなりやすくなります。 - 姿勢のくずれ
顎(あご)が前に出たり、首や肩に負担がかかり、姿勢がくずれやすくなります。
風邪をひきやすくなるだけではない?
口呼吸は、風邪や感染症にかかりやすくなるだけでなく、次のような健康の問題にもつながることがあります。
- アレルギー症状の悪化
鼻で息をするときに花粉などを受け止めるはたらきがありますが、口呼吸ではそれができません。 - 睡眠の質の低下
眠っているあいだに呼吸が乱れると、深い眠りが得にくくなります。 - いびきや睡眠時無呼吸
口呼吸でのどの道がせまくなると、いびきをかきやすく、場合によっては一時的に呼吸が止まることがあります。 - のどの腫れ
口呼吸による乾きや刺激で、のどの奥が炎症を起こしやすくなります。 - 夜おしっこの量が増えること
深い眠りが取れないと、夜におしっこが近くなる場合があります。 - 集中力の低下
慢性的に酸素が足りないと、脳への酸素が十分に行き渡らず、集中力や学ぶ力が下がることがあります。
口もとや顔の成長にも影響する可能性
口呼吸を続けると、お子さんの顔や口もとの成長にも影響が出ることがあります。とくに、次のような変化が考えられます。
- 口もとがゆるむ
唇(くちびる)やあごの筋肉が弱くなると、口を閉じにくくなり、顔のバランスがくずれることがあります。唇の力が弱くなり歯並びが悪くなる原因にもなります。 - あごがせまくなる
正しい噛み合わせが難しくなり、あごの成長に偏りが出ることがあります。
子どもの歯並びと口呼吸の意外な関係とは
口呼吸が続くと、舌の位置が正しく保たれず、それが歯並びに影響することがあります。その結果、次のような歯並びのくずれが起こる可能性があります。
- 前歯が前に出る
- 噛み合わせが悪くなる
- 奥歯が正しい位置に収まらず、歯が並ばない
- あごの成長に偏りが生じ、顔のバランスがくずれる
- 歯が重なり合って生える(叢生:そうせい)
また、口呼吸で唾の量が減ると、歯ぐきの病気や虫歯になるリスクも高くなります。
舌の位置と姿勢が歯並びを左右する?
舌は、本来、上あごに軽く当たっていることで歯並びや顔の骨をサポートしています。しかし口呼吸を続けると、舌が下がり、歯並びや顔の成長バランスに悪い影響を与える場合があります。
「お口ぽかん」は見過ごさないで
一見かわいらしく見える「お口ぽかん」ですが、お子さんの健康や成長に大きな影響を与えるかもしれません。軽い症状でも、早めに対策をとることで改善のチャンスが広がります。
子どもの矯正 口呼吸になる原因
口呼吸になる理由は様々です。
- 軟らか食(口の周りの筋肉が発達しないため)
- 言葉の変化(メールなどで会話をしなくても意志を伝えられる)
- 口遊びの減少(口笛を吹けない人が多数)
- アレルギー疾患の増加(花粉症、アレルギー性鼻炎だとますます口呼吸に)
などたくさんの原因が挙げられます。これら一つずつというわけでなく、複数の原因が絡み合っている場合もあります。
その他にも、急激な温度変化(血管作動性鼻炎や暑さや寒さの刺激でも口呼吸が誘発されます)、激しい運動、就寝中のいびきなども原因になります。携帯ゲーム機やスマートフォンの操作に集中している時も口呼吸になりがちですから要注意です。
そもそも数いるほ乳類の中で、いつも口で息が出来るのは人間だけです。これは、しゃべる機能を獲得できたからと言われています。
子どもの矯正 口呼吸の治し方
口呼吸をなおすには、次のような取り組みが大切です。
- 鼻づまりの治療
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎の治療を受けて、鼻で息がしやすい状態をつくります。 - 正しい姿勢の指導
すわるときや立つときの姿勢を整えることで、呼吸がラクになります。
歯科矯正よりも先にできることがある
歯並びをなおす前に、舌のうごきや鼻呼吸をサポートする生活習慣を身につけることで、歯並びや顔の成長を自然にサポートできます。
成長を活かしたアプローチとは?
お子さんの成長期は、改善のチャンスです。このときに取り組むことで、健康的な成長を促せます。
- 舌の位置を正しくするトレーニング
- 鼻呼吸をしやすい環境づくり
睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群って聞いたことはありませんか?これは口呼吸をするこどもが口で息をするために、舌(ベロ)を適切な位置より下げてしまうことで気道を狭くしたり、塞いでしまう状態によっておこる睡眠呼吸障害の一つです。これには注意が必要です。
期間に関わらず、放置したままの生活を送っていると大人になった時に閉塞性の睡眠時無呼吸症候群になるリスク、重度の場合は命のリスクまで高まります。
大人になってからの治療法として、総合病院の小児科や耳鼻咽喉科にて扁桃の手術、鼻からマスクで空気を流すシーパップ(CPAP)、眠る時にマウスピースを装着するなどの方法があります。しかし大人になってからでは、効果的な薬や予防策もなく、根本的な解決をすることが難しいので大変です。
また、舌の位置と同じく睡眠時の無呼吸に関わってくるのがアデノイド肥大(アデノイド顔貌)、アデノイド増殖症と口蓋扁桃肥大です。アデノイド(咽頭扁桃)とは鼻から喉にかけて存在するリンパ組織の一部です。口蓋扁桃は喉の奥の左右から飛び出して見える膨らみのある粘膜で、一般的に「扁桃腺」と言われているものです。本来これらは、子どもの成長・年齢により肥大していても一緒に小さくなっていくものです。しかし、これらが鼻を介さずポカーンと口が開いた口呼吸により外気に触れさせられると、乾燥やウイルスにより一種のアレルギーのような状態となり肥大が収まらなくなることもあります。そうなると喉を塞いで無呼吸状態を作ってしまい、夜間睡眠障害となり夜中のいびきや落ち着かない寝相などの症状、日中の疲労感、寝起きの悪さとなって現れてきます。
そして「寝る子は育つ」と言うように、イビキをかかないといった良質な小児睡眠がお子さんの体や脳の成長発達に大切なことは明白です。睡眠時の呼吸が止まってしまうと、レム睡眠やノンレム睡眠のリズムを崩してしまう睡眠障害に陥る可能性があり、成長期の大きな障害(成長障害)となるでしょう。
しかし、ご家族の協力のもと、子供の頃からの口呼吸、口唇、舌などの使い方、姿勢などの改善で治すことができることも多くあります。
鼻呼吸することのメリット
歯や心身の成長を正しい方向へ導く鼻って実はとても優秀な自然の空気清浄機なんです。
外から入って来た菌を鼻粘膜フィルターで除去してくれるんです。逆に鼻を使わないことで機能が低下すると、アレルギー性鼻炎や花粉症の原因にもなります。また加湿器の役割などもあり、寒い冬に冷たい空気が肺に入る前に一旦温めてくれるのです。肺の負担を減らしてくれたり、肺の免疫力が下がることを防いでくれます。
また鼻呼吸では、口呼吸と比較して、酸素を効率よく取り込むことができます。そのため酸素が全身に行き渡りやすくなるので、勉強などでの集中力が上がる、スポーツでの持久力が上がるなどの効果が言われています。逆に自分で鼻呼吸の習慣ができていない子どもは、お口をポカンと空けてボーッとしていて日中から眠く集中力低下、注意欠如多動(ADHD)などが目立ちます。
子どもの矯正 現代の子どもたちは顎が小さい
顎が小さくなってきている現代の子どもたち
現代の食生活は柔らかいものが多く、よく噛む習慣が減っています。
そのため、顎の発達が不十分になりやすく、永久歯がきれいに並ぶスペースが足りなくなってしまうケースが増えています。
指しゃぶりや口呼吸などの“癖”も影響
長引く指しゃぶりや、いつも口が開いている「お口ぽかん」や口呼吸などの癖も、
歯並びやかみ合わせに大きな影響を与えます。
これらを早期に見つけて改善することが、将来のトラブル予防につながるのです。
子どもの矯正 口呼吸チェックリスト
口呼吸をしているのかもしれません。口呼吸の子供には、以下の特徴が見られます。
生活面での「口呼吸」の症状
- 口が常に開いている
- 鼻が詰まりがち
- 姿勢が良くない
- 食事中に音を立てる
- 食べ物をこぼしやすい
- いびきが大きい
- 風邪を引きやすい
外見面での「口呼吸」の症状
- 上唇が色白になっている
- 唇を頻繁に舐める
- 前歯に着色汚れが付きやすい
口呼吸をする子供は、上唇の乾燥により色が薄くなることがあります。この乾燥は前歯の着色や口臭の原因になり、舌の位置が下がることで滑舌が悪化することもあります。
子どもの矯正 子どもが口呼吸になる原因
口呼吸は歯並びに影響を及ぼすだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。口呼吸が習慣化する原因を特定し、改善策を見つけることが重要です。
鼻づまりなどの鼻炎やアデノイド
鼻炎は鼻の通りを悪化させ、特に慢性鼻炎の子供は息苦しさから口呼吸の癖がつきやすくなります。アデノイド(鼻の奥に存在するリンパ組織の塊)は2歳から成長し、5~6歳で最大になり、その後10歳頃に縮小します。5~6歳頃の段階では顎の骨格も小さく、鼻呼吸の困難さから口呼吸に移行しやすいです。
口の筋力低下
硬い食べ物を避けたり十分に噛まなかったりすると、口の周りの筋肉である口輪筋が衰え、口が開いた状態が癖になります。この癖はさらに口輪筋の弱体化を招き、悪循環に陥るリスクがあります。風船遊びや口笛など、口輪筋を鍛える活動が減少している現代では、子供達の口呼吸が増えていると言われています。
子どもの矯正 口呼吸のデメリット
人間は生理的に鼻呼吸をするように設計されており、これが正常な体の機能を維持するのに役立ちます。そのため口呼吸が習慣になると、以下のような問題を引き起こしやすくなります。
風邪を引きやすくなる
鼻はフィルターとしての機能を担っており、吸い込んだ空気中のウイルスや細菌を捕捉します。鼻呼吸では、これらの病原体が鼻毛や粘膜によって阻止されますが、口呼吸ではこの防御機能が働かず、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
アレルギーのリスクが高くなる
鼻毛と鼻水は、花粉や埃、真菌などのアレルゲンの侵入を防ぐ役割を果たします。しかし、口腔内にはこのような防御機能がないため、口呼吸をするとアレルギー反応を引き起こしやすくなります。
歯並びの悪化
口呼吸をする子供は、舌が下顎に位置することが多く、舌の位置が下がることで気道が狭くなり、下顎を突き出すことになり、これが下顎の成長を促し「受け口」の状態を引き起こすようになります。
また、口を開けていることで唇と頬の筋力が弱まり、前歯を内側に抑える力が不足し、出っ歯になるリスクも高まります。
見た目(顔貌)に影響する
口呼吸は、口周りの筋肉を適切に使用していないため、顔の形状にも影響を与えることがあります。具体的には以下のような変化が見られることがあります。
- 口元が前方に突出する
- 下顎と首の境界が不明瞭になる
- 鼻の穴が狭くなる
- 顔が下部に膨らむ
- 顔全体が縦長になる
虫歯や歯周病のリスクが高くなる
口呼吸は唾液の分泌量を減らしてしまうため、唾液が本来持っている自浄作用と抗菌作用を低下させ、口内環境を乾燥させてしまいます。それにより、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
口臭がきつくなる
口内の乾燥は唾液の自浄作用を低下させ、食べカスが歯間に残りやすくなります。これにより細菌の繁殖が促され、口臭が増す原因となります。
子どもの矯正 口呼吸の治療方法
子どもの口呼吸は、単なる癖から生じることがあり、「口を閉じる」「鼻で呼吸する」を意識することで改善する可能性があります。
とはいえ、口呼吸の原因は多岐にわたるため、お子様の努力だけでは解決しないケースもあります。
ここでは以下に、子どもの口呼吸を改善するための5つの方法を紹介します。
口・舌のトレーニング
口呼吸の改善には「あいうべ体操」がお勧めです。この体操は、口と舌の筋肉を鍛えることで、口呼吸の癖を改善し、正しい呼吸法を促進します。実践方法は以下の通りです。
あいうべ体操
- 「あー」:口を大きく開ける。
- 「いー」:口を横に広げる。
- 「うー」:唇をすぼめて前に突き出す。
- 「べー」:舌を下に出す。
これらの動作を1日に30回を目安に繰り返し行い、1セット10回、1日3セットを目標にすると良いでしょう。あいうべ体操は、口呼吸の改善に加えて、顔の表情筋を鍛える効果も期待できます。
鼻呼吸テープ
鼻呼吸を促すために、睡眠中に口にテープを貼る方法があります。この鼻呼吸テープは、口が開かないようにすることで口呼吸を防ぎますが、使用する際は鼻呼吸ができることを確認してください。
テープは薬局で購入可能です。もし鼻詰まりが続く場合は、耳鼻科の受診をお勧めします。
正しい姿勢を意識する
猫背は気道を狭め、口呼吸を促す一因となります。正しい姿勢は気道を広げ、鼻呼吸を容易にします。
日常生活で正しい姿勢を心がけること、そして食事時には子どもがテーブルにまっすぐ座り、足が床につくような適切な高さの机や椅子を使用すると良いでしょう。
子どもの矯正 口呼吸から鼻呼吸への改善方法
鼻づまりが原因の場合
慢性的な鼻炎や扁桃腺肥大によって鼻がつまると、口呼吸が習慣化しやすくなります。このような状況では医療的な対応が必要なため、早めに耳鼻科へ受診してください。
歯並びが原因の場合
口呼吸が習慣化している場合、歯並びの問題が原因であることが多く、特に出っ歯は口を閉じにくくします。矯正治療によって歯並びを整えることで、口が閉じやすくなり、鼻呼吸がしやすくなる可能性があります。
また、口腔筋機能療法(MFT)という、口周りの筋肉を鍛え、舌の適切な位置を習得するトレーニングがあります。これは口呼吸の改善においても役立ちます。子供のうちにこれらの治療やトレーニングを行うことで、口呼吸の根本的な原因を解消し、健康な歯並びと呼吸習慣を育むことができます。
子どもの矯正 子どもの8割は口呼吸
2021年に新潟大学で全国の小児歯科医を対象に行われた研究では、日本の子供たちの31%が日常的にお口ぽかんと呼ばれる状態で口呼吸をしているということがわかりました。
ほんの僅かに口が開いている状態の子供を含めると、子供の約8割が口呼吸になっているといわれています。
口呼吸が原因で噛む、飲み込むことがうまく出来ない子どもが増えている
子どもの口呼吸は、今や日本全体の問題になってきています。食べる、飲む、話すといった口腔機能が発達または機能していない状態を口腔機能発達不全性といいますが、口呼吸が原因で口腔機能発達不全性を発症する子どもたちが日本で増えている傾向があるからです。
多くの子どもたちが、鼻呼吸が出来ないせいで、病気ではないのに食べ物を噛む、飲み込むという基本的なお口の機能がうまく働いていないということになります。
子どもの矯正 口呼吸が歯並びに与える影響
口呼吸が子どもの歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼすことが多いです。口呼吸は、歯列が狭くなったり、出っ歯や開咬といった不正咬合のリスクを高める要因となります。このため、口呼吸の矯正は早期に取り組むことが推奨されます。
- 出っ歯(上顎前突)の原因となる
- 顎が十分に発達せず、歯列が狭くなる
- 歯が重なって生える(叢生)
- 開咬(上下の前歯が噛み合わない状態)のリスクが増す
- 顔つきや口元の見た目に影響が出る
口呼吸は、早期に改善することが重要です。
子どもの矯正 口呼吸の身体への影響は?
では、口呼吸をすることによってどんな影響があるのでしょうか?
- 唾液が乾燥してドライマウスになる
- 虫歯、歯周病になりやすい
- 唇の力が弱くなり歯並びが悪くなる
- 花粉症、アレルギー性鼻炎になりやすい
- 風邪、インフルエンザになりやすい
- いびきをかき、睡眠の質が低下する
このように、口呼吸にはデメリットしかありません。
子どもの矯正 口腔機能低下症が増加
口腔機能低下症はもともと高齢者に多い症状の一つで、食べ物を噛んだり飲み込んだりする
ことが難しい状態のことをいいます。
高齢者増加の影響もあり、口腔機能低下症がみられる人が増え、医療費の増加の原因の一つとなっています。問題は、口腔機能がうまく発達せず、噛んだり飲み込んだりするのが難しいという症状が、子どもたちの間でみられることです。
子どもたちがこのまま成長すると口腔機能の低下による将来の医療費負担の増加することが予想されます。
2018年の診療報酬改定で、国は口腔機能低下症、口腔機能発達不全性を正式に病気として指定し、保険が適用されることを決定しました。国は子どもに対する口腔機能訓練を推奨し、何とか食い止めたいと考えているからです。
実際の訓練を効率的に行うには、子どもの口呼吸を防ぎ、よく噛めるようにするために何が大切かを保護者の方に十分理解していただく必要があります。
子どもの矯正 口呼吸になってしまう理由
口呼吸になってしまう理由は、舌やお口の周りの筋肉が十分に発達していないことが考えられます。そのために口呼吸になってしまう理由は次の4つです。
- 離乳食を与える時期が早い
- 前歯で噛ませていない
- 口腔機能の発達を狙った食事がなされていない
- 鼻で息ができないことを理由に、鼻で呼吸をさせていない
子どもの矯正 口呼吸から鼻呼吸への変え方
口呼吸になっている理由がわかれば、おのずから解決策もわかります。しかし口呼吸が習慣になっているお子さんを鼻呼吸に変えるのは、それほど簡単なことではありません。
口呼吸のお子さんは舌の位置が低くなっている場合が殆どなので、歯科では舌の位置を正常に戻すためのマウスピースを就寝中に使って頂き、同時にお口の周囲の筋肉を鍛えるための、ご自宅ですぐに出来るお口周りの体操の指導も行っています。
舌のポジショニングトレーニング
舌が正しい位置にあることが、鼻呼吸を促進し、口呼吸の改善に役立ちます。舌の位置は上あごに軽くつけた状態が理想です。この状態を保つトレーニングを行うことで、自然に鼻呼吸が促されます。
- 方法・・舌を上あごにくっつけ、口を閉じた状態を数分維持します。1日に数回、意識的に行うことで徐々に習慣化させます。
鼻呼吸を意識する呼吸トレーニング
呼吸の方法を意識的に改善するためのトレーニングです。鼻呼吸に慣れていない人は、まずはゆっくりと鼻から吸って鼻から吐く呼吸法を習慣づけます。この方法は、リラックス効果もあり、呼吸の改善に役立ちます。
- 方法・・背筋を伸ばしてリラックスした状態で、鼻からゆっくり深く息を吸い込み、そのまま鼻から息を吐き出します。この動作を1回につき5分程度、1日数回繰り返します。
口の筋力を鍛えるエクササイズ
口周りの筋力が弱いと、口が開きやすくなり、口呼吸になりがちです。口の周りの筋肉を鍛えるエクササイズを取り入れることで、口を閉じた状態を保ちやすくします。
- 方法・・唇をしっかり閉じて、10秒間その状態を維持します。その後、唇をリラックスさせる。この動作を1日に10回繰り返します。
鼻詰まりを解消するためのエクササイズ
鼻呼吸が困難な場合、鼻の通りを良くするためのエクササイズを行うことが重要です。鼻腔が詰まりやすい場合でも、定期的に鼻呼吸の練習をすることで改善が期待できます。
- 方法・・息を止めた状態で鼻をつまみ、頭を前後にゆっくりと動かします。息が苦しくなる前に鼻から息を吸い、鼻呼吸を再開します。このエクササイズを繰り返すことで、鼻の通りが良くなることがあります。
鼻呼吸を促進するテープ療法
就寝時に無意識に口呼吸になってしまう場合は、口に専用のテープを貼って強制的に鼻呼吸を促す「口閉じテープ」が有効です。これにより、鼻呼吸の習慣化を助けます。
- 方法・・寝る前に専用のテープを口に貼り、無理なく鼻呼吸ができる状態を維持します。初めて使用する場合は、専門家の指導を受けると安心です。
正しい姿勢を意識する
姿勢の悪さは口呼吸につながることがあります。頭が前に突き出した「猫背」姿勢は、口が開きやすくなるため、背筋を伸ばして正しい姿勢を意識することが大切です。
- 方法・・壁に背中をつけて立ち、頭・肩・お尻を壁に軽くつけたまま、深呼吸を行います。この姿勢で呼吸することで、鼻呼吸を習慣づけやすくなります。
これらのトレーニングを日常生活に取り入れることで、口呼吸の改善が期待できます。ただし、長期間口呼吸が続いている場合や、鼻の異常がある場合は、医師や歯科医に相談して専門的な治療を受けることも重要です。
子どもの矯正 口呼吸と舌癖
近年、子供の口呼吸が増えています。口呼吸をするのが癖になると、歯並びの悪化を始め、いびきや口臭、虫歯、顔の歪みなどのトラブルが起こりやすくなります。また、鼻毛や鼻の粘膜を通さずに空気が体内へ入ってしまうため、感染症やアレルギーを引き起こしやすくなります。
特に、口呼吸によって歯並びが悪くなった場合は、口呼吸の癖を治さない限り、何度矯正を行っても歯並びが元に戻ってしまう恐れがあります。そのため、子供の頃から鼻呼吸の意識を身に付けさせることが重要です。
「上下の歯の間に舌を出す」「舌で歯を押しだす」「舌を下顎の歯列に置く」など、食事や会話以外のタイミングで不必要に舌が動いてしまう癖を「舌癖(ぜつへき)」と呼びます。
食事や会話をしない時、舌は上顎の正しい位置につける必要があります。
また、赤ちゃんは舌を前に出しながらミルクを飲むのですが、ある程度成長してもその癖が治らず、食べたり飲んだりする時でも口が閉じられないケースもあります。(舌突出癖)。
舌壁があると出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間ができたり、上下の歯が噛み合わなくなったりします。
また、会話する時もサ行やタ行、ナ行、ラ行などが舌たらずになってしまう傾向もあります。
子供の口呼吸・舌癖チェック
- いつも舌を歯で噛んでいる
- いつも口をぽかんと開けている
- 食べ物が口からこぼれる、クチャクチャ音を立てて食べる
- 滑舌が悪い
- 喋っている時につばが飛ぶ、口角にたまる
- 舌を出して食べ物を食べようとする(迎え舌)
- 姿勢が悪い
舌癖を放置してしまうと舌と唇のバランスが崩れるため、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼしてしまいます。
口呼吸をしていないか、舌癖がないか確認してみましょう。
口呼吸や舌癖が生じる原因
口呼吸は歯並びだけではなく、健康におけるデメリットも多いです。
なぜ口呼吸が癖になってしまうのか、その原因を見つけていきましょう。
口の筋肉が未発達
「硬いものを食べない」「よく噛まない」「口呼吸が癖になる」ことで、お口周りの筋肉である「口輪筋」の筋力が低下してしまいます。口輪筋の筋力が落ちるとさらに「ぽかん口」が癖になるため、悪循環に陥りやすくなります。
最近は風船遊びや口笛を吹く機会が少なくなったため、昔より口輪筋を鍛える機会が減りつつあります。そのため、現代は口呼吸のお子さんが増えている傾向があります。
鼻炎、アデノイドなど
鼻炎になると鼻の通りが悪くなるため、息苦しさから口呼吸になりやすいです。特に慢性鼻炎持ちのお子さんは口呼吸が癖になってしまい、口を閉じる力が低くなることも。
「アデノイド」とは、鼻の奥にあるリンパ組織の塊です。アデノイドは2歳頃から大きくなり始めます。最もサイズが大きくなる時期は5~6歳頃で、10歳頃には小さくなっていきます。最もアデノイドが大きくなる5~6歳の時期は、まだ顎の骨格が小さいため、鼻呼吸で息苦しさを感じて口呼吸になりやすくなります。
口呼吸や舌癖をそのままにしていると…
歯並びの悪化
口呼吸のお子さんは、舌が下顎の位置にある傾向が強いです。下顎に舌の力が加わると下顎の成長ばかり促進されてしまい、上下の顎の位置が反対になる「受け口」状態を招きます。
また、唇の筋力も落ちることで前歯を内側に抑える力が衰え、出っ歯にもなりやすいとされています。
風邪を引きやすくなる
鼻の穴はフィルターの役割を持っています。鼻毛や粘膜によって吸い込んだウイルスや病原菌、アレルギー物質が体内へ入らないよう守っています。
しかし、口呼吸になるとウイルスなどが気管へ入りやすくなるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい身体になってしまいます。
虫歯や歯周病になりやすくなる
唾液には細菌を洗い流す「自浄作用」と、虫歯や歯周病を引き起こす菌の増殖を抑える「抗菌作用」があります。
口呼吸によって口内が乾燥して、唾液の分泌量が少なくなると、菌が増殖しやすい口内環境になるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
口臭の原因に
口の中が乾燥すると唾液による自浄作用が弱くなり、食べ物が歯と歯の隙間に残りやすくなります。そのため細菌が繁殖しやすくなり、口臭が強くなります。
口呼吸や舌癖の治し方
口呼吸や舌壁は以下の方法で改善できます。
筋機能矯正を受ける
正しい舌の位置と鼻呼吸を身につけるトレーニングを継続することで、口呼吸や舌癖が改善できます。
当院では小児矯正トレーナーと筋機能トレーニングを組み合わせた、オリジナルの小児矯正を行っております。
必ず鼻呼吸できる事を確認のうえ、口にテープを貼って寝る
ドラッグストアなどで販売されている鼻呼吸テープを寝る前に貼ってみましょう。
この方法は特に「鼻呼吸はできるけど、ついぽかん口になってしまうお子さん」に有効です。
耳鼻咽喉科で治療を受ける
鼻炎を抱えているお子さんの場合は特に、耳鼻咽喉科へ治療を受けることをお勧めします。